紅葉狩りと紬ちゃん
本日の倶楽部桐箪笥メンバーは、どうやら遠出をしているようですよ。
…ふむふむ、洛北の大原三千院あたり。
秋も深まり、冬の訪れを感じるこの季節、京都ならではの紅葉狩りと洒落込んでいるようですね。
紬ちゃん:以下 紬
「わぁー。葉っぱが真っ赤に染まってキレイですねぇー。私、紅葉狩りって初めて来ました!(おばあちゃんも連れて来てあげたら喜ぶだろうなぁ・・・弟や妹にも見せてあげたいなぁ。)」
黒留袖ママ:以下 黒
「そぉか、あんた出身、奄美大島やったなぁ。紅葉ってせぇへんの?」
紬:「はい。基本、年中夏ですから、そういった季節感っていうのはありませんね。」
訪問着さん姉さん:以下 訪
「季節がないって、同じ日本やのになぁ…それは味気のうてかなんなぁ。」
紬:「でも、のんびりしてて良いところですよー。みなさんにも遊びにいらして欲しいくらいです!ウチ、親族で泥染から大島紬作ってますから、体験とかもできますよ。」
訪:「それ、えぇなぁ!私も大島紬の訪問着、いつか一枚は欲しいと思ってるんやけど、高こうて手が出せないわぁ。」
附下さん姉さん:以下 附
「そうそう!大島紬って、一生に一度は着たい、憧れの着物の代名詞!みたいに言われるけど、高すぎて庶民が買えないんですよねぇ。」
振袖ちゃん:以下 振
「親子三代着れるーって聞いたことありますぅ〜(地味だしぃ?)」
紬:
(クスン…(鼻をすする音))
「…そうですね、一つ一つの工程が大変なうえに時間もかかるので、どうしても高額になっちゃうんですけど、でも、、、その工賃が作り手に十分に入ることはないんですよね。。。」
色留袖ちゃん:以下 色
「えぇー?なんでぇ?あんな高い値段がついてるのに、お金入らないの?」
紬:「、、、あんまり言いたくないんですけど、作り手と消費者の間に入ってお商売してる人たちが多いから・・・」
ーガシッッッツ!(小紋ちゃん、紬ちゃんの手を力強く握る)ー
小紋ちゃん:以下 小
「わかる!!!それ、すっごくわかるよ!紬ちゃん!!」
「あたしたち、小紋もそう!特に江戸小紋はね、見た目は地味なのに、工程はすっごくあるから手間超かかってるし!伊勢型紙だって作れる人も彫れる人も少なくなって、後継者不足がヤバいのに!」
「私利私欲にかられたバカがいるから、作り手に全然お金入らないし!」
「物作りができなくなって苦しくなるのは誰?悲しいのはお客様でしょう…?!」
「バカなの?なんなの?死ぬの?!」
色無地ちゃん:以下 無
「お、お、落ち着いて?!小紋ちゃん!ね?みんな同じ問題を抱えてるから、ね?一旦落ち着こう、うん。」
小:「(ゼェゼェ…)す、すみません、、、ついドス黒いものが次々と。。。」
黒:「あんたら、言いたいことはよーわかるけど、ここは京都ぇ。今日は北のはしにきとるけどな、昔は石投げたら糸偏(いとへん)※の人間に当たるって言われてたくらいやしな、それくらいにしときよし。誰がどこで聞いてるかわからんぇ。」
※糸偏・・・京都で和装業に従事している人の事
紬:「ママ、ありがとうございます。気をつけますね。」
「私、自分に誇りはもってるんです。目の肥えたおばさま方に憧れの着物!って言われるくらいの緻密な柄付であったり、三代着てもヘタレない理由になる丈夫さとか染色技法とか、誇れるところはたくさんありますから。」
小:「ママ、すみませんでした。。。ついカッとなってしまって。本当の江戸小紋が素晴らしい分…類似品を作って販売する業者なんかも増えて…類似品をこれが江戸小紋!って言って売っちゃったもんだから、本物と偽物が見分けがつかなくなっちゃった経緯があるんです…」
「職人さんたちがどんだけプライドを持って作っているのか!この繊細な工程や分業が江戸小紋たる由縁なのになぁ…」
振:「やぁだーもう!お姉さんたち!!今日はせっかく紅葉狩りに来てるんですからぁ、ね♪楽しみましょう!」
色:「そうそう!ここの宝泉院さん、額縁のお庭がすごいんですよね。ほら、行きましょうよ♪」
附:「今度、業界の闇は別のところで聞いてあげちゅうき!ささ、今日は楽しもうさ!(この後の日本酒も楽しみだし♪)」